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目次
一般的にかぶれと呼ばれるものは接触皮膚炎と言います。接触皮膚炎は大きく分けると刺激性とアレルギー性のものがあります。原因が光線によるものまで含めると
*刺激性
*アレルギー性
*光接触皮膚炎(光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎)
*全身性接触皮膚炎、接触皮膚炎症候群(接触じんましん)
に分類されます。
外来性の化学物質や、ほこり、衣服の繊維などが皮膚に直接接触しておこる刺激性接触皮膚炎。これは一時的な反応です。繰り返し皮膚を刺激して炎症反応を引き起こす刺激蓄積性皮膚炎。
皮膚に侵入した物質に対し遅延型のアレルギー反応を起こし、湿疹が起きる皮膚炎は、アレルギー性接触皮膚炎。一度アレルギーを獲得すると、接触のたびに症状が出現します。
*アレルギー:本来は異物の侵入から体を守るための免疫反応が、病的に機能して、生体を傷害すること。アレルギーは過敏な免疫反応を示している状態。Ⅰ型からⅣ型に分類されるが、接触皮膚炎はⅣ型(遅延型)
一定の刺激の閾値*(いきち)を越えれば初めての接触でも、また誰でも発症します。皮膚の表面の角層はバリアの役割があり、正常の皮膚の状態では分子量1000以上の物質が角層を通過することはないとされています。現代の生活環境は皮膚の角層を破壊する、障害をおこす原因が無数にあり、色々なものが原因物質になり得ます。洗剤や石鹸などの化学物質、日常使用する化粧水やボディクリームなどの化学物質、職場や学校などで使用するもの、食品、植物、ほこり、衣類の繊維、紙製品などなど、あらゆるものが皮膚に対する刺激になり得ます。
*閾値(いきち)・・・反応を起こすのに最小の刺激の量
感作*が成立した後に、同じ物資または交差性のある物質に再び接触した場合に症状がでます。
原因になる化学物質は身の回りに無数に存在しています。
帽子や衣類、革製品、時計やベルト、手袋、かばん、カラー剤、化粧品、香水、ピアスやネックレスなどのアクセサリー、おもちゃ、ポケットのなかに入れている硬貨、植物や果物、自宅以外の職場や学校で使用するもの、接するものに含まれる化学物質は、どれでも原因となり得ます。
*感作(かんさ)・・・特定の刺激に対して反応が大きくなる(皮膚症状を生じる)こと。
クロムやニッケル、コバルトなどの金属、植物、ゴム、洗剤、洗髪料、眼鏡、石鹸や化粧品、医薬外用品、消毒薬や絆創膏、ゴム製品加工に用いられる化学物質などが接触源になりやすいです。
職業性で接触皮膚炎を起こしやすいのは、美容師、パン・菓子職人、機械工・自動車修理工など日常的に手指に接触するものが多い職業の方であることは想像しやすいかと思います。
ほとんどが光アレルギー性接触皮膚炎になります。紫外線の中でもUVAが原因波長。
光感作物質に UVA が照射されると、その化学構造に何らかの変化が起こり、そして個体が感作・惹起されることになり、症状が出現します。
*紫外線・・・波長の違いで、UVA(320−400nm)、UVB(290−320nm)、UVC(190−290nm)に分類される。UVCはオゾン層で吸収されるので、地上に届くUVA、UVBが問題になる。UVAは通常の窓ガラスを通過し、皮膚の深くまで到達する。UVBは窓ガラスは透過せず、皮膚の浅い層まで。
接触によるアレルギー感作の成立後、同一の原因物質が繰り返し皮膚から接触し、強いかゆみのある皮膚の症状が、接触した範囲を超えて、全身に出現する場合を接触皮膚炎症候群といいます。
接触感作の成立後に同じ物質が経口・吸入・注射など、皮膚からではないルートで体に侵入することによって、全身に皮膚炎を生じたものを全身性接触皮膚炎といいます。
金属が原因の例は全身型金属アレルギーと呼ばれることもあります。歯科金属、食物、坐薬、膣剤などが原因になり得ます。
皮膚に物質が接触することにより起こる、じんましん反応のこと。
多くの場合、物質が接触した部位に、すぐにじんましんの症状があらわれます。
まれに数時間後に出現したり、他の部位に症状が拡大する場合があります。かきこわしてしまうと、周囲にじんましんではなく、湿疹が生じることがあります。
頻回に手洗いをする人、水仕事を行う人に起こります。「手荒れ」と言われる状態です。
両手指の乾燥、皮膚がむける、赤いぶつぶつや水ぶくれ、亀裂などが症状です。
症状がさらに悪化すると指紋が消失したりもします。
主婦だけでなく水仕事の多い職業の方、美容・理容師、パソコンをよく使う方、紙などをあつかう方など、手指や手に刺激を受ける機会の多い方が発症しやすいです。
刺激によって皮膚のバリア機能が低下し、皮膚にダメージを与える刺激が蓄積していき、アレルギー性の接触皮膚炎を併発します。
おむつの当たる部分に、赤みや赤いぶつぶつ、びらんを生じます。尿や便の刺激、おむつの刺激によります。
乳幼児から小児の口周囲に好発します。唾液や食べ物による刺激性接触皮膚炎。
ガーデニングなど園芸を趣味とする方に増えています。
アレルギー性・・・ウルシ系、マンゴー、カシューナッツ・銀杏系、菊系(キク、マーガレット、ヒマワリ、ダリア、ヨモギ、レタスなど)サクラソウ、シソ、チューリップなど
刺激性・・・イラクサ、ニンニク、玉ねぎ、カラシ、ほうれん草、パイナップル、キョウチクトウ、イチジクなど
棘毛による機械的刺激・・・サボテン、バラなど
シュウ酸カルシウム針状結晶・・・山芋、里芋、アロエ、キウイ、パイナップル
光毒性・・・フロクマリン含有:パセリ、レモン、ライム、ベルガモット、イチジク、セロリなど
光接触皮膚炎・・・セリ科、柑橘類
詳しい問診により時間的経過、部位から想定します。
例えば・・・
どこに皮膚症状がありますか?
自覚症状は?
良くなったり悪くなったりする時期がありますか?あるならいつですか?
ご自宅で?職場で?
汗は関係していますか?
日光と関係ありそうですか?
職業、趣味は?
化粧品などスキンケアは何を使用していますか?いつ購入したものですか?
ご家族にも同じ症状がありますか? などなど
原因を想定しパッチテストを行います。
日用品による接触皮膚炎・刺激性皮膚炎の場合
ヘアカラー剤、シャンプーリンス、洗剤、衣類、眼鏡、ゴム手袋など
化粧品によるアレルギー性接触皮膚炎・刺激性皮膚炎の場合
下地クリーム、化粧水、乳液、ファンデーション、パック、日焼け止め、アイシャドー、マスカラ、口紅、リップ、チーク、ジェルネイルなど
化粧品に含有されている香料、パラベン、ホルムアルデヒド、ラノリンなど
色素沈着の症状がある・・・香料、色素
光接触皮膚炎・・・紫外線吸収剤
などが原因の可能性があります。
以上をふまえて、パッチテストが必要になります。
パッチテストは現在、アレルギー性接触皮膚炎の診断に最も有用な検査法です。パッチテストにより原因となる接触物質(アレルゲン)を明らかにすることにより、難治性・再発性のアレルギー性接触皮膚炎の根治が可能となります。
光線が関与する接触皮膚炎が疑われる時は光パッチテストを、関与しない接触皮膚炎の時にはパッチテストを行います。全身性の時には使用試験、内服誘発試験が必要です。
また詳細な問診より日用品、化粧品、植物、食物、金属、医薬品、職業性などが疑われるときは、原因物質を推定しパッチテストを行います。
パッチテストは、症状の原因として可能性のあるアレルゲンを背中や上腕に48時間貼付します。貼付している間は汗をかきやすい行動(入浴、スポーツなど)は控えるようにします。
ですので、当院では汗をかく季節には実施していません。48時間後に貼り付けたパッチテストユニットを剥がし、15〜30分後に1回目の判定を行います。その後は48、72または96時間、1週間後に判定を行います。
当院でのパッチテストはパッチテストパネル®︎(S)を用いた検査のみ可能です。お使いの化粧品などを使用した検査は行っておりません。
接触皮膚炎の原因を完全に特定することは困難ですが、思いもよらないものが原因であったり、アレルギーをお持ちだったりすことがあります。繰り返す皮膚症状があるときは、検査が有益になります。検査によって原因を除去することで、かゆみや皮膚症状が改善していきます。
この記事が皆さんにとって少しでも有益な情報となれば幸いです。
引用
日本皮膚科学会 接触皮膚炎診療ガイドライン2020
最新皮膚科学体系3
皮膚科学第11版
あたらしい皮膚科学 第3版
病気がみえる 皮膚科
皮膚疾患最新の治療 2025−2026