2024年 9月 14日

毛穴について悩んでいる。 原因・症状・治療法を皮膚科専門医がわかりやすく説明

昔から毛穴が気になって色々試してるけど、改善しない。
若い頃にニキビはひどかった。ニキビはできなくなったけど、毛穴だけが気になる。
毛穴のつまりが気になって触ってしまう。

原因・症状・治療法を
皮膚科専門医がわかりやすく説明します。
この記事を書いている人
皮膚科専門
北 和代(きた かずよ)
(資格)
・日本皮膚科学会 専門医
(所属)
・日本美容皮膚科学会 日本抗加齢医学会

「毛穴に良いという洗顔、化粧水を使ってるけど、かわらない」

「毛穴のつまりが気になるから押し出してる」

「毛穴だけ目立つ」

「毛穴が黒い、大きくなってる」

早い方だと小学生の頃から気にしていることの多い毛穴。

ネットで調べても何が正しいのかわからない・・・

色々試してみたり、美容治療もしてみたけど・・・

そんなあなたが少しでも正しい情報を得られるように皮膚科専門医が詳しく説明します。

そもそも毛穴って何?

毛穴を知るには、まず皮膚の構造を理解することが必要です。

皮膚の構造について

人の皮膚は、表皮、真皮、皮下組織から構成されています。

皮膚の表面を覆っている表皮には毛器官(毛と毛包)が毛孔として、また、汗を出すエクリン汗腺が汗孔として皮膚の表面に開口しています。

毛の構造について

皮膚表面に出ている部分は毛幹、皮膚内部にある部分を毛根と呼びます。毛包は毛を包んでおり、毛の成長を支持し皮膚の外へガイドする役割をもっています。

毛包には

・終毛性毛包(あごひげ)

・脂腺性毛包

・軟毛性毛包があります。

顔や鼻まわりには脂腺性毛包が多く、肉眼的に確認できる毛孔をもちます。多くの方が気にしている毛穴はこの毛孔のところになります。

皮脂腺の構造について

脂腺には毛包に開口するものと、皮膚に直接開口する独立脂腺があります。

皮脂の分泌量が毛穴の大きさと関係しているとの報告があり、もともと脂性肌の場合は、

皮脂量の減少とともに毛穴の大きさの縮小が見られたとの報告があります。

皮脂が多くて悩んでいるという患者様がいらっしゃいますが、皮脂は悪いものではありません。

皮膚の表面に分泌された皮脂は、皮脂膜を作ることで、皮膚のバリア機能調節に関与しています。

間違ったスキンケアで皮脂を落としすぎたりすると、バリア機能が低下し、乾燥します。

そこからかゆみが生じたり、普段のスキンケア製品で刺激を感じたりすることがあります。

皮膚の角化

表皮の細胞の95%は角化細胞です。

角化細胞は表皮の1番下の基底層から徐々に上の角質層まで移行していき、いわゆる垢(あか)として脱落します。基底層にある細胞が表皮の表面で脱落する(角化)までの時間をターンオーバー時間とよび、通常は45日とされています。

20代頃までは皮脂腺の活動が活発なため、毛穴の出口に角質がたまりやすくなります。

毛穴のお悩み別:原因

毛穴の目立ちは毛孔の角化であることが明らかになっています。

毛穴の黒ずみは角質細胞と皮脂のかたまりによる角栓(の色)またはうぶ毛(の色)で黒く見えている状態です。

おでこやほほのざらつきは小さな面ぽう(コメド)が原因です。

面ぽう(コメド)とは、毛漏斗部(脂腺導管開口部から毛穴までのこと。上図でいうと皮脂腺が開いているところから毛孔の間)の角化が亢進し、たまった角質により毛漏斗部がつまります。

その結果、皮脂や汚れなどで毛穴がつまったことでできる、「小さいできもの」のことをいいます。

年代別の毛穴のお悩みの原因

小・中学生

毛穴が目立つ・・・洗顔が水だけ。もしくはきちんと洗顔できていないことが多いです。

10−20代

毛穴の開き、毛穴が目立つ・・・ニキビを合併していることが多く、皮脂分泌が多いのも原因です。

すでにニキビによる瘢痕、陥凹ができている・・・毛穴ではなく、ニキビにより、毛包が炎症を起こし破壊されています。すでに真皮まで炎症が生じ、瘢痕となっている状態。毛包のところは繊維化し硬くなっています。

30−40代

毛穴の開き、毛穴が目立つ・・・毛穴の周囲がすり鉢状に凹み、まわりの皮膚が盛り上がり、影が生じることで、毛穴が目立ちます。

皮脂による角栓は減少しますが、開いた毛穴がそのままになっています。

また、すり鉢状になった毛穴周りの角化異常があり、皮膚のターンオーバーが乱れた状態になっています。

40代以降

毛穴が目立つ・・・たるみにより、ほほの毛穴が縦に引き伸ばされ、結果として毛穴が円形から楕円形になり、さらに目立つ状態になります。

また加齢に伴い、毛包周囲の組織や真皮のコラーゲンなども減少、変性し、皮膚が萎縮していきます。

治療法は?

毛穴の状態により、治療方法は異なりますが、ひとつひとつの毛穴によって、状態は異なっています。

毛穴の表面のところだけ開いている状態。

毛穴の奥まで皮脂や角栓が詰まってしまい、毛穴が大きく開き、毛穴自体が硬くなっている状態。

毛穴自体は開いていないが、元々の毛穴の数が多い状態。

状態に応じての治療の選択が必要です。

ダウンタイム(美容施術後に赤みや痛み、腫れや色素沈着、かさぶた、びらんなどが生じ、人目が気になる期間)が気になる方は、症状に対して、マイルドな効果のみの治療になりますので、効果を重視した治療が行いにくいこともあります。

ダウンタイムが少ないもの(外用剤 化粧品 ケミカルピーリング IPL イオン導入 ロングパルスNd:YAGレーザーなど)

皮脂分泌が多く、毛穴が開いている場合や洗顔方法などスキンケアに問題がある場合

まずは肌の状態に応じた洗顔料や化粧品(マイルドピーリング可能なものなど)を使用することが大切です。すぐに改善するわけではありませんが、誤ったスキンケアを訂正するだけでも、お肌の状態は改善していきます。

ニキビがある場合

ニキビ治療を併用していくとより効果的です。過酸化ベンゾイル(ピーリング作用のある保険適応の外用剤)、アダパレンゲル(毛穴のつまりを改善する作用のある保険適応のある外用剤)などを使用します。

攻めのスキンケアとして、トレチノイン(オールトランスレチノイン酸:ビタミンA誘導体 )含有の化粧品も効果があります。表皮の角質を剥離し、ターンオーバーを促進します。その他、シミやシワにも効果がありますが、赤みや腫れ、乾燥、刺激感などが生じます。

ケミカルピーリング・・・皮膚に化学薬品をぬって皮膚の表面を剥がし、ターンオーバーを早め、皮膚の再生を促す治療です。日本では主に角層のみの浅めのピーリングが主流になっています。安価で、トラブルの少ない施術です。

IPL(Intense Pulsed Light) ・・・レーザー(単一波長の光を発振)とは異なり、紫外線を除く、可視光線から近赤外線の領域の光を照射します(幅広い光を発振)。それにより、水分や色素の元であるメラニン、赤みの元であるヘモグロビンが加熱され、熱影響が生じます。そのため、表皮でのターンオーバーが促進され、キメの改善や毛穴の改善、シミや毛細血管拡張による赤みなどを改善します。また真皮浅層を非特異的に加熱することで、コラーゲンの新生を促し、真皮の再構築が可能です。年齢を重ねた方で、シミやくすみなども含め、毛穴が気になる方には有効な治療です。

イオン導入・・・角層にはバリア機能があるため、有効な成分を、単純に皮膚に塗るだけでは、皮内に有効成分を浸透させにくいです。そのため、皮膚に微弱な電流をかけ、イオン化された物質(ビタミンCなどの薬剤)を皮膚の内部まで浸透させる方法になります。

ビタミンC を導入すると、美白効果や皮脂の抑制が期待でき、それにより毛穴の縮小が期待できます。

グリシルグリシンを導入すると、毛穴の面積の拡大を抑制したり、毛穴の異常な角化を改善し、角層水分量を増やすことから、毛穴の縮小効果が期待できます。

経皮導入 エレクトロポレーション・・・約100Vの高電圧下で電気パルスによって細胞の膜に小さな穴をあけ、電気的な反発や電気による浸透、機械的な圧力で細胞内に有効成分を浸透させます。用いる薬剤によってシミや毛穴、キメなでに効果をもたらします。

ロングパルスNd:YAGレーザー・・・1064nmの超波長のレーザーで皮膚の表面から1.5mm程度の深さまで影響を与え、真皮に熱を加え、コラーゲンの増生を促します。肌のハリやツヤ、肌触りが改善します。

ダウンタイムがあるもの (ダーマペン POTENZAなどのマイクロニードリング フラクショナルレーザー メソセラピー:注射製剤)

マイクロニードリング・・・皮膚に微細な穴をあけ、炎症反応や創傷治癒反応を起こさせ、皮膚の再生や修復を促します。目的の皮膚の層のところに針を刺入し(ダーマペンなど)、シワや毛穴、にきびあとなど、改善したい症状に応じた薬剤を併用することで、さらに効果をあげることができます。細い針の先から高周波(RF)を流す機器(POTENZA)も同様の方法で効果があります。

フラクショナルレーザー・・・レーザー光を細分化し、一定の密度で皮膚に照射します。正常な皮膚を残しながら点状にレーザーを照射します。

炭酸ガスレーザー(10600nm)で行った場合、熱作用などにより、表皮のターンオーバーを促進、真皮にも影響を与え、毛穴を改善します。また、真皮にも作用することで、真皮のコラーゲン収縮により、タイトニングの効果も期待できます。水分に反応する波長ですので、蒸散作用が高く、施術後1週間程度はかさぶたが生じ、炎症後の赤みが、数ヶ月程度残存します。

ピコ病レーザー(パルス幅がピコ秒のNd:YAGレーザー)で行った場合、熱作用のない、高い出力で照射することで、真皮内の組織を変性、再構築し、コラーゲン増生などでハリや肌質の改善が期待できます。照射後、赤みや紫斑が生じます。レーザーによって細分化の方法は異なりますので、照射される出力によって、副作用などに違いがあります。

レーザーによるにきび治療はこれ以外にも、機器や波長の違うものがあります。

メソセラピー・・・効かせたい部位の皮膚に直接、有効成分(ヒアルロン酸、ビタミンなど)を注射にて投与する方法。注射針を使用しごく少量ずつ手打ちする方法、機器を用いた水光注射やメソガンなど。

まとめ

毛穴のお悩みは、幅広い世代の方がお持ちです。

その方のスキンケアの方法や生活スタイル、理想とする肌状態、どこまでの治療をご希望になられるのか、千差万別ですので、一概にこの治療なら大丈夫というものはありません。

お悩みなら、一度医療機関にご相談ください。

この記事が皆さんにとって有益になれば、幸いです。

【参考文献】

Non-Surgical 美容医療超実践講座

美容皮膚医学BEAUTY #33 とことん、毛穴

あたらしい美容皮膚科学

美容医療を受けてみたいと思ったときに読む本

病気が見える14  皮膚科

美容皮膚医療 ホントのところ

最新皮膚科学大系



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